
家の中から見つかるダニには、家の中に棲息しているダニ(家屋内固有種)と戸外から侵入してきたり、動植物に寄生しているダニ(迷入種)があります。ダニ は日本の夏のような高温多湿を好み、室温25℃湿度75%という室内環境は、まさにダニの天下。例えば、はじめは雄雌30匹だったものが、僅かひと夏(約 2カ月半)で、約1万匹にまで繁殖するといわれています。その中でもアレルギー症状を引き起こす原因になるといわれるコナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ は、住宅に棲息するダニの90%を占めています。

アレルギーの症状を起こす抗原をアレルゲンと呼びます。ダニの場合は体長0.3~0.4ミリのダニの虫体以上に、ダニが出す糞(ふん)の方が10倍も強いアレルゲンとなるのが特徴です。糞は10~40ミクロンと微細で、室内を浮遊する性質があります。下の図は一般的な住宅でダニがどれだけ、どこにいるのかを調査したもので、じゅうたん、布製ソファ、ぬいぐるみ、ふとん等に大量のダニがいますが、その90%がアレルギーの元凶となるヒョウヒダニです。また、ふとんの綿には1m²あたり10万匹のダニの死骸が溜まってお り、これもアトピー性皮膚炎やぜん息などのアレルギー症状を引き起こす一因になるといわれています。布団のダニ退治には、十分に天日干しして、とりこむ前によく叩き、掃除機を丹念にかければ、表面にいるダニの半分程度はとれるそうです。しかし、家中のいたるところに棲息しているダニを退治するのは容易なことではありません。
一般に、アトピー性皮膚炎の原因としては牛乳や卵などを連想される方が多いようですが、実は家の中のダニやその糞、死骸が原因の大半を占めています。右の グラフはアトピー性皮膚炎の原因を調べたものです。1位のダニは約70%ですが、実は2位のハウスダストもダニの糞・死骸等であり、その影響の大きさがわ かります。日本では現在、3人に1人が何らかのアレルギーに悩まされています。中でもアトピー性皮膚炎に苦しむ人は年々増えつづけ、社会問題にまでなって います。
右のグラフはぜん息患者のアレルゲンを調べたもので、約半数がダニの死骸や糞などのハウスダストがアレルゲンでした。ぜん息の発作は夜間や明け方に多く、 また急激な温度差も発作の引き金になるといわれます。アレルギー患者は複数のアレルゲンを持っていることが多いため、その病理的なメカニズムは残念ながら 解明できていないのが現状です。しかし、こと住環境の見地からすれば、アレルゲンとなるダニを寄せつけない家が求められているのは明らかでしょう。
近年、住まいの中にダニがここまで増えてしまった理由の一つに、アルミサッシの普及があるといわれています。アルミサッシは気密性を高めることはできますが、その反面、断熱性の低い素材であるために結露が発生しやすくなる原因となっているのです。また、エアコンの普及とあいまって、窓を開けての換気を控えるような生活スタイルになっており、これが室内の湿度をさらに上昇させているようです。こうした湿度の高い住まいは、カビが発生し、それを餌とするダニに とってはまさに棲みやすい天国のような状況。前述のように、ひと夏で300倍以上に繁殖してしまうような環境をつくっているのです。
ダニの生育4条件は、湿度、温度、酸素、栄養源ですが、何よりも「湿度」が大きな要素となります。というのもダニの適応温度は20~30℃ですが、例えば4℃でも湿度があれば、繁殖は無理でも生き延びることはできるのです。一方、温度が25℃でも湿度が50%程度では11日間で死滅することがわかっています。つまり、ダニを撃退するポイントは湿度コントロールです。 家の中をダニが棲みにくい湿度に保つ。そうした湿度管理を可能にするには、高気密・高断熱住宅であることが必要条件です。まずは外気の影響を受けにくい室内環境を実現し、その上で的確な換気および除湿を行い、人間が健康的かつ快適に暮らせる湿度40~60%の生活環境を保つことがポイントです。






















